(C)医療研修推進財団
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アトピー性皮膚炎 |
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1. |
アトピー性皮膚炎は,アトピー素因を基礎に発症する慢性湿疹性皮膚疾患である. |
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2. |
症状は乳児期・幼小児期・成人期に大別されそれぞれ特徴的な皮膚所見を呈する. |
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3. |
診断後は皮膚科専門医による治療が原則である. |
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4. |
合併症として感染症と眼合併症に留意する. |
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5. |
患者や家族に過度の不安を抱かせない. |
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乳児期」幼小児期」成人期に大別され,それぞれ特徴的な皮膚所見を呈する.(図1) |
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1. |
乳児期:まず,いわゆる「乳児脂漏性皮膚炎」の臨床像を呈する.具体的には鱗屑を有する紅斑が頭部」顔面」頸部」腋窩」鼡径部」殿部等に出現する.頭部」顔面の鱗屑は厚く固着し,浸出液を伴って痂皮となることもある.こうした落屑性紅斑に丘疹」漿液性丘疹等の急性湿疹病巣も伴う. |
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2. |
幼小児期:全体的に乾燥性の皮膚となり,顔面には細かい鱗屑が付着していわゆる「ハタケ(単純性粃糠疹)」の像を呈する.躯幹等は毛孔性角化により鳥肌状となる.こうした乾燥性皮膚上に丘疹」痒疹」苔癬化局面を生じ,掻破により拡大する.肘窩」膝窩の苔癬化局面は特徴的と言える. |
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3. |
成人期:幼小児期と同様の乾燥性皮膚上に慢性湿疹性病変を伴う病変が上半身中心に分布し,重症例では全身に皮疹を生じ紅皮症状態となったり四肢に硬くしこった痒疹様小結節が多発する.また,顔面や頸部に難治性の紅斑を生ずることも多い. |
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図1 アトピー性皮膚炎の皮膚所見 |
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日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎の定義」診断基準」(表1/文献1)があるが,その特徴的臨床像と慢性の経過より比較的診断は容易であると思われる. |
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表1 アトピー性皮膚炎の定義・診断基準(日本皮膚科学会) |
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日本皮膚科学会 |
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日本皮膚科学会による治療ガイドライン(文献1)等もあるが、本症は慢性に寛解」増悪をくり返すのが特徴であり,皮膚炎の状態に応じたきめ細かい治療が重要である.従って皮疹の評価,最適な内服」外用剤の選択等に習熟した皮膚科専門医による治療が原則で,診断後は専門医への紹介が望ましい. |
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1. |
外用療法:ステロイド外用剤が基本となる.皮疹の状態に応じて,最適なランクのステロイド外用剤を選択する.皮疹の程度によっては,非ステロイド外用剤」保湿剤等も併用する.外用剤の基剤にも軟膏」クリーム」ローション等種々存在し,皮疹の状態に応じた選択が必要である. |
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2. |
内服療法:著しい重症例以外では原則としてステロイド内服は行わない. |
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3. |
生活指導:本症には発汗,乾燥,ダニ」ハウスダスト」カビなどのアレルゲン等種々の増悪因子が存在する.このため,これらの増悪因子を認識」忌避させるための生活指導も治療の一環として必須である.また,入浴については過度な洗浄は良くないが,逆に洗浄を全くせず,皮膚の保清がなされないのも問題であり,「適度の洗浄」が必要である.石鹸については刺激にならなければ通常のものでよい. |
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1. |
皮膚感染症:アトピー性皮膚炎患者の皮膚ではバリア機能が低下していることが知られており,特に湿疹病変を生じた部分では正常の皮膚に比べて細菌やウイルスの侵入が起こりやすい.主として黄色ブドウ球菌により,水疱や膿疱」痂皮性湿潤病変が拡大する伝染性膿痂疹(いわゆる「とびひ」)と単純ヘルペスウイルスにより水痘様の水疱」膿疱が多発するカポジー水痘様発疹症が代表的である.皮疹の急速な増悪を見た場合には単なる湿疹の増悪と考える以外にこのような皮膚感染症の合併を考慮するべきである. |
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2. |
眼合併症:白内障と網膜剥離が代表的である.白内障についてはその原因として一時,顔面へのステロイド外用剤の使用が疑われたが,現在では外用剤は無関係で眼をこする行為による可能性が高いと考えられている.網膜剥離も眼をこすったりたたいたりすることによると考えられている.いずれも放置すれば失明につながる重大な合併症であり,注意が必要である. |
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最近,アトピー性皮膚炎について誤った情報が氾濫しており,患者や家族の間で混乱を生じ,本症に対して過度の不安を抱いているケースがよくある. |
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(1) |
日本皮膚科学会:アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2004改訂版, 日本皮膚科学会雑誌:114:135, 2004 |
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(2) |
Nakagawa H., Etoh T., Ishibashi Y., Higaki Y., Kawashima M., Torii H., Harada S:Tacrolimus ointment for atopic dermatitis.[letter]. Lancet, 344(8926):883, 1994. |
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(3) |
Kawashima M., Tango T., Noguchi T., Inagi M., Nakagawa H., Harada S. :Addition of fexofenadine to a topical corticosteroid reduces the pruritus associated with atopic dermatitis in a 1-week randomized, multicenter, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study.. British Journal of Dermatology,148:1212-1221,2003 |
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(4) |
Bourke JF., Berth-Jones J., Holder J., Graham-Brown RA: A new microemulsion formulation of cyclosporin (Neoral) is effective in the treatment of cyclosporin-resistant dermatoses. British Journal of Dermatology, 134(4):777-779, 1996 |
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最終更新日:
2006年 10月 30日
執筆者名: 玉木 毅,所属:国立国際医療センター皮膚科