日本はWHOから世界一位の医療制度と認定された制度を構築してきました。世界一位というのは何か、一言で言ってしまえば健康寿命が世界一位、これですべてが言い尽くされるのではないでしょうか。もちろん乳児死亡率も世界で一番少ないといったようなこともありますが、これで言い尽くされると思います。しかもその世界一位を作り出すのに、非常に少ない費用でそれを実現したために制度が世界一と評価されるわけです。
ではどれくらいお金を使っているのかというところで、いつもこれが出てくるのですが、アメリカがGDPの15.3%、つい2,3年前までは先進国ではイギリスが最下位で、その上にいつも日本がいたのですが、この2年くらいでイギリスに追い抜かれてしまって日本が先進7カ国の中では8%と最低になりました。OECDの中でも22位ということですが、それでも年間33兆円かかっています。このうち公費負担の割合ですが、公費というのは税金もありますが、保険料も公費の中に入っており圧倒的に公費が多い。アメリカは公的保険制度がなく、徹底した格差社会なので貧困層では医療も受けられなくて、のたれ死にを許している国というような側面があることは間違いないと思いますが、一方で日本よりも額としてははるかに多い税金を医療に投入している国であるという事実も知っておく必要があるかと思います。最近医療崩壊で医師の絶対数が少ないとか、分野別の医師が少ないとか色々な議論がされていますが、確かにOECDの中で日本の医師数は27位、下から2番目か3番目くらいの位置に属しています。こういう比較をすれば絶対数は確かに少ないのですが、これだけで本当に少ないのかどうかという議論は簡単にすべきではないと私自身は思っています。
こういった背景の中で高齢化が急激に進み、進んできた結果いったい何が起こってきているのか、今医療の中で色々な問題が噴出してきていますが、急激な高齢社会、高齢者が増えたことによって今までの医療制度や医療のあり方では変化に対応できず、矛盾やひずみやねじれが噴出してきているのだと思います。具体的には高齢者だけにスポットを当ててみても、介護疲れで84歳の妻をいわゆる介護殺人というような悲惨で生々しい問題、あるいは、認知症の方が徘徊で行方不明になり死亡・不明905人、905人という数が多いのか少ないのか、今や認知症が170万人とも180万人とも言われていますが、急速に増えています。社会としてこういった問題をどう扱い、どう対応していくのかということが進まない限り、ちょっと目を離したすきに行方不明になって、気が付いたときには死体となって現れるというようなことが日常化してくる可能性があります。 |