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厚生労働省医政局長 |
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| ご紹介いただきました、医政局岩尾でございます。本日は医療研修推進財団の第8回目の講演会ということでお招きいただきましてありがとうございました。現在、医政局で考えていることなどをお話して、皆さんからのご意見をいただければと思っております。それではスライドをお願いいたします。 | ||
| ●はじめに | ||
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日本の医療制度ですが、昭和36年からの国民皆保険制度の中で行なわれてまいりました。民間病院も公的な病院も一緒になって、地域医療が提供されてきたということがございます。各国の医療提供体制を比べてみると、既にご承知と思いますが、人口千人あたりの病床数、日本は大変多いわけですが、そこに従事する医師の数というのはむしろ少ない。病院が多くて一病院あたりの医師が少ないという現状があるので、従いまして、同じような医療を提供するためには、どうしても長く入院させなければいけないということになるわけです。 これをまとめますと、医療の分野でも効率化、重点化をはかる必要があるのではないかということでございます。それから、長いこと医療はパターナリズムの世界であったわけで、どうしても先生に任せろということで来ていたところがあります。そういう中で、昨今の新聞報道にも見られるように、医療に対する安全性が失われているということがございます。また、それに加えて情報化社会の進展の中で、IT化の遅れというものも非常に懸念されるわけでございます。このようないくつかの問題点がある中で、私ども平成14年、小泉改革の一環として医療制度を改革しようということで、厚生労働大臣の元に四つの検討チームを作りました。医療保険制度の見直し、診療報酬体系の見直し、医療提供体系の見直し、それから、医療保険制度の運営効率化と書いていますが、社会保険庁の合理化、つまり、社会保険病院の運営に関して検討しようということでそれぞれ始まったわけです。 このようなことと期を一にして、一連の保険制度の中では混合診療の問題とか株式会社の参入、年金法改正に絡んで社会保険庁それ自体の問題も出てまいりました。当初考えていたこれら医療制度の抜本改革、私どもとしては、それぞれ真摯に取り組んでいるわけですが、さまざまな事柄を同時にやっていかなければならないことがございます。いろいろなところと調整をしながら進めるわけで、進み方がのろいと官邸のほうから急げ、急げという指示もまいります。そのような流れの中で、考えていかなければならないことというのは、やはり、保健医療システムの改革、それから、診療報酬体系の改革、医療保険制度の改革を通じて、少子高齢化社会に対応した新しい医療制度を作っていかなければならないのではないかということでございます。四つの改革チームの内、医政局に任されたのは、医療提供体制の改革チームでございました。国民的な合意を得て改革を推進するために、21世紀における医療提供体制の改革の将来像とイメージ、そして、当面進めるべき施策を提示し、この全体のまとめが得られましたので、平成15年8月に発表させていただきました。 これから、それにしたがってお話をさせていただきますが、この視点というのは三つの分野、五つの項目から成り立っております。一つは、これからの医療は患者の視点を尊重していくこと。二つ目は、質が高い、効率的な医療を提供していくこと、三つ目が、そういう医療を支える基盤整備していこうということでございます。医政局の仕事、もちろん日本医師会も一緒の考え方ですが、「安心」で「安全」で「質の高い」医療を国民に提供することです。政策上、それに関わる「人」と「施設」、そしてその間を取り持つ情報とか医薬品とか医療機器など、「もの」を取り扱うというのが医政局の仕事でございます。医療法、医師法を始めいくつかの法律を所管していますが、これらがすべて、安全に対する対策、安心に対する政策、そして質の高い医療を行なっていくための手段として、私ども人、もの、施設に対してのさまざまな措置を行なっているということでございます。 従いまして、先ほどのスライドにありました基盤整備というのは比較的「もの」に関することで、医薬品、医療機器、情報というものがございますが、医薬品、医療機器、情報の内、本日は医療機器はこのあと和地さんがお話するということで、その分のスライドを軽くして持ってきておりますので、その点ご了承いただければと思っております。 |
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| ●医療に関する情報提供の推進 | ||
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では、先ほどの改革の基本的視点に沿って、一つずつお話させていただきたいと思います。まず、医療に関する情報提供の推進ということです。私ども、患者の視点の尊重ということで、この情報提供をどのように考えていくかということでございます。先ほど、パターナリズムという言葉を使いましたけれども、今の国民、患者の方々というのは、自分で情報をとるということが、インターネットその他でできるようになってきました。患者、国民が容易に医療に関する多様な情報にアクセスできる時代になっております。従いまして、患者への治療方針、治療方法の選択肢の説明が適切に行なわれて、患者と医師等々との信頼関係が成り立ち、その中で医療を提供していこうというのが大前提だろうと思っております。セカンドオピニオン外来とか、最近はごくごく普通になっているかと思いますが、自分の検査データを持ってほかの先生のところにかかるという方々も随分増えてまいりました。患者に自分でその努力をしていただいて、自覚と責任を持って医療に参加するという意識が必要なのではないかということであります。 そのような患者の視点を考えたとき、患者の選択の幅を広げる必要があるだろうということです。少し字が小さくて申し訳ございません。上のほうにちょうど第4次の医療法改正したときに広告規制の緩和ということをうたいました。いろいろなことを広告できるということで、医療の内容に関すること、それから医療機関の設備に関するような情報とか、さまざま加えて大いに参考にしていただきたいということにしたわけです。この中で、医療機関というのが、第三者的な評価を受けて、自分のところはこのような病院ですというようなことを広告、一般に知らせてもいいのではないかということもありまして、医療機能評価機構の評価結果なども掲載するというようなことになりました。 このように幅広く情報を出すということと裏腹ですが、当然医療機関には、個人情報というものがございます。個人情報保護法がこの4月1日からスタートするにあたりまして、情報通信、金融、信用、医療の分野は法律の施行までに特別立法の可能性も含めて検討しろというようなことが、個人情報保護法の成立時に付帯決議としてついたわけでございます。私ども、昨年末までこの医療に関しての個人情報保護をどのように考えていくかということで何回か検討会を持たせていただきました。個人情報取扱い事業者というのは、5,000例以上のデータを持っているものですとか、それから、下に書いていますが、個人情報というのは生存する個人ということですから、医療機関で不幸にしてお亡くなりになった方々ということになると、死んだ時点で個人情報でなくなるというような問題もあります。従いまして、個人情報保護法の中だけで何かルール化していくということが非常に難しい。そこで、日本医師会とも相談し、既に診療情報の提供に関するガイドラインを作っておりますので、それと今回出てきたガイドラインと二つあわせて今後運用していこうということになりました。 概要の主なものということで、利用目的の特定ですとか、安全管理措置とか従業者の監督及び委託先の監督ですとか、個人情報の第三者提供の制限とかいくつか項目が出ております。既に厚生労働省ホームページで開示していると思いますので、是非ご覧いただければと思います。このような注意を払う中で、先ほどのようなセカンドオピニオンを求めるというのは、医師からすると黙示的にというか、患者が来てほかの先生に紹介するときには、その紹介先の先生と個人情報などのやりとりをするわけですが、当然、患者は自分の情報が紹介される医師に伝わるということを理解して制度が成り立っているということになるわけです。 これはもう一つ別の情報提供に関する事項ですが、どういう治療法が一般的なのかということで、数年前からEBMの推進ということを進めております。いろいろな学会も今、歩調を合わせまして、この診療ガイドラインというものをきちんと作っていくという努力をしております。これも評価機構にお願いして検索サービスというか情報掲載をしておりますので、いくつか学会とリンクを貼って情報を取れるような制度を現在作っているところでございます。これ以外にももちろん、個人情報、情報をどのように提供していくかという中で、標榜の問題、先生方ですと専門医の問題等々ございます。現在、専門医のレベルをどのように考えるかということで、医師会、学会をあげてわれわれも今考えております。専門医というものも、最近はカテーテルの専門医というと、何となく専門医と分かりますが、内科の専門医というと何が専門なんだろうか。腫瘍、ガンの専門医だとそれなりにイメージが分かりますが、外科の専門医というのもイメージがわかないということで、専門医制度というものと自分たちのクオリティみたいなものを考えていくべきだろうというような話もあります。ただ、私自身は、いわゆる先生方のプロフェッショナルフリーダムの部分に行政介入をして、何か専門医というものを制度上に続けていくというものでもないだろうと。自分たちが、先生方が、あるいは患者の目から見て名医、専門医だというようなものが情報として出せるような学会活動なり、組織であってほしいと私は思っております。 |
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| ●安全で安心できる医療の再構築 | ||
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2番目に安全で安心できる医療の再構築ということでございます。まず、安全ということでお話したいと思います。1989年(平成元年)から出ておりますが、医療関係の事故についてどの程度新聞報道されたかというものを時系列でまとめてみました。1999年(平成11年)当時までそれほど多くないのですが、2000年(平成12年)超えると増えてくる。1年365日とすると、昔は1日に一つあるかないかだったのが、今は1日に5本から6本載っているという状況です。昨日も、多分今日もどこかの新聞に記事が出ているわけです。 このような状況というのがなぜ起きたのかというのは、もう既にご承知のとおりだろうと思います。横浜市立大学でストレッチャーに乗っている患者を右と左で取り違えたということに端を発したわけですが、そのような中で、私ども医療安全対策を積極的にとっていこうということで、幾つかのことを始めました。ここにありますようにそれぞれ年次を追ってさまざまな会議とか事業を始めたわけです。最終的に平成14年、医療安全推進総合対策を作り、それで安全対策を強化したのですが、まだまだそれで十分ではなく、平成15年はちょうどクリスマスイブに厚生労働大臣から緊急アピールということで発表していただきました。 このような全体の流れ、医療安全対策のグランドデザインということでいろいろ進めて来たわけですが、それにしたがって、ステップワイズに現在どんなことができているかということです。このような表にまとめておりますが、一つは病院の規模、機能によってお願いすること、できることは異なるのではないか。それから、安全管理ということでは、人が必要になりますから、専任の人を配置できるだけのキャパシティがあるだろうか。そのようなことを考えると、色が付いている範囲を義務付けにして、あと白抜きの部分は指導というかたちで行なっております。もちろん、規模の小さいところ、診療所は先生の目が行き届いて事故が少ないだろうと思っておりますが、基本的にはきちんとした安全管理体制と、患者の窓口ということを作っていただくということかなと思っております。 行政でも各都道府県に医療安全支援センターというものを設置していただきました。そして、研修の経費とかそのようなものを出しておりますが、今後はよりきめ細かい行政サービスの一環として、2次医療圏に一つこのようなものを置いていただくのはどうかと思っております。東京都に率先してやっていただいたので、初期のころ東京都の方にどのような話が来ているのかと聞いたわけですが、電話がかかってくると、「何々病院のなんとかという先生を辞めさせろ」とか、「あそこの病院はけしからんからつぶせ」とか、そのような話がよく来ていたということでございます。最近は、そうでもないという話です。 それから、少しこの話題とは違いますが、電話相談というのは意外と効果があるということが最近分かりました。子供の救急医療についてですが、今はどのようなやり方がいいのか。昨日(1月25日)の国会でも民主党のほうから質問が出ていましたが、小児の救急医療システム、あるいは夜間の救急システムをどのようにするのかということです。自治体というか病院によってはまとめて一カ所で診ようという流れだとか、面で分担してとか、いろいろなやり方をやっておられるかと思います。茨城県南部では土浦でしたか、取手の協同病院が医師を一カ所に集めて周辺全部診るとか、大阪北摂では周辺の市町村の首長も反対なさったと思いますが、箕面市民病院に小児科医を全部集めて、その代わりそこで一括して24時間診ましょうということでスタートしたと聞いております。大阪の話を聞いたとき、そのように一カ所に集めて、ご家族の方が心配して電話をしてくるわけです。電話番の看護師が1週間で数百本の電話を受けたということですが、そこで患者を救急搬送しなければならない、医師の指示を受けなけれならないようなことは1件もなかったということです。つまり、若夫婦の場合、核家族になっておじいちゃんやおばあちゃんに話を聞けない。引きつけを起こしても処置が分からないという状況の中ですぐに近所のお医者さんに行く。けれども、専門医がいいからといって総合病院の外来で子供を連れてウロウロするということよりも、まず話が聞けるところがあるということが、結果として医療の安全にも安心にも繋がっていくのだろうということを、大阪の方とお話をして思ったところであります。 事故事例がそれぞれあると、評価機構のほうに報告をいただきます。そういう報告をした際に、アノニマス、匿名情報にいたしまして、どこで、誰が、どういう転帰をとったということは分からないようにしようというルールにしております。そういたしませんと、一つは医療機関からの協力が得られにくいということと、私どもが民事刑事に巻き込まれるというのもまずいのではないかと、そういいながら随分巻き込まれておりますが、ここはきちんと分けて、分からないとして集めていこうというルールにしております。 いわゆる、第三者機関で受け付けて、そのような事例を調査し解剖し報告する、というようなことをやってみようと予算を取りました。その中で、もちろん手術をするわけですから、手術の承諾書に患者はサインをしていると思いますが、思ったより血管がボロボロだったとか、縫えなかったというようなこともあるし、また、先生が気付かないときにどこか、大動脈をメスで傷つけたというようなことがあるかもしれない。そのようなことをお互いに納得いく形で分かればいいのではないかと。このようなことから少しずつ医療の透明な部分を求めていきたいというように考えております。 |
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| ●質の高い効率的な医療提供体制の構築 | ||
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次の項目に移りたいと思います。次は、質の高い効率的な医療提供体制をどのようにするかという話題であります。病院の病床をどうするか、これはいろいろなところで議論をしているところで、あまり介護の話にはいるつもりはありませんが。いわゆる機能を考えたとき、一般的な病床と長く寝込むような病床と、御自宅で過ごすような在宅の部分というものがあると、病床の機能というのはそんなものだろうと。そうは言いながら、特記はしていますが、例えば、難病とか脳卒中リハとか、そのようなものももちろんありますし、救命救急センターとか、そのようなものもあるけれども、基本的にはここに示すような病院、病床の区分かと思っております。昨日(1月25日)の医療計画の委員会でも、基準病床について一般病床と療養病床で行ったり来たりできるのかとか、定着しないのではないかといろいろな議論をやっていますが、私どもとしては、病床のイメージというのはこういうものなのかなと思っております。 そこで、こういう施設を考えたとき、何を考えなければいけないかと言うと、最初のスライドにありました、保険証1枚あれば日本中で医療を受けられるという、この日本のすばらしい制度を維持していく上では、やはり地域格差の是正とか、上の二つはよく言われていることなのでいいとしても、限りある資源を有効に使うということが必要なのではないかと思っております。そうこうしているうちに、平成15年度は三位一体改革ということで、地方に対しての税源の移譲、補助金の改革、交付税の見直しをまとめてやれという話でした。厚生省も労働省も元もと旧内務省から分かれたほうですから、政策としては地方自治体を通じて政策実現を図るという手法は全く一緒です。その中で福祉とか社会保障、あるいは医療という特定の分野においては専門家が必要である、ということで昭和13年ですか、厚生省が分かれたのだろうと思っております。蛇足ですが、医療行政に関しては明治5年、長与専斎が内務省に第7局、医療をつかさどる局を作って、文部省からはがして来たのが起源です。そういうことを考えると、元もとの行政手法は一緒なわけです。 患者というのは地域の住民であり、医療にかかるために飛行機に乗ってみな東京に来るわけじゃありませんから、地域で完結していただきたい。そのためには地域できちんとした医療の役割分担をしていただきたい。ということで、三位一体の受け皿として医療行政における都道府県の役割を充実していただき、特に保健とか健康増進、病気にならないために健康日本21活動をやっていますが、都道府県の役割を期待したいということで、新たな医療計画制度を考えたらどうかということを始めたわけです。医療計画というと、皆さんすぐに病床の話になりますが、実は病床はどうでもいいとは言いませんが、必要なことは地域に先ほど言いました限りある資源で地域格差を是正するのに、地域の行政の方々がどの程度考えてくれるかということです。地域の保健医療体制をどのように作り替えていくかということと、先ほどの補助金制度を一緒にして、医療計画制度を見直していきたいというのが現在の考え方です。 医療計画の策定に関し、私どもは基本方針を提示します。あとの策定手法その他はそれぞれの都道府県に任せてもいいのではないかと思っています。しかし、最低限書くべき中身というのは、きちんと自治体で決めてください。先ほど言った住民のQOLの向上の視点からいろいろ考えてください。医療機能の分化、連携ということも考えてください。そのためには、先ほどのベッドの話に戻りますが、例えば、ガンで死ぬ方、肝臓ガンの多いところとか少ないところとかそれぞれありますし、脳卒中の多いところ、少ないところもそれぞれあります。このような病床は一律必要だということを霞ヶ関で言うのではなく、疾病に対応した必要な病床数をそれぞれの自治体で考えていただく。うちの県はこうしたいという話があればそれでいいのではないかと。もちろん、ミニマムというようなものは全国共通のものを持って頂くとしても、自分の県にもう少しガバナンスというか、自分の県の実情はそこの県の方々が一番よくご存じだから、そういう方々に新しい医療計画というものを考えて作っていただくのはどうかと思っているわけであります。 もう一つの話題ですが、昭和23年に医療法ができて、昭和25年医療法人という規定ができました。その後、一人医療法人というのが制度化されて、ほとんどの医療機関が法人化されたというのはご存じだと思います。この医療法人に対して、株式会社に参入させろという話がずっと昨年来ありました、今でもあります。本日は米国大使館から人が来て、ビジネスチャンスとしての医療分野への参入可能性について聞いていきましたが、やはり、先人が医業の経営形態について、株式会社ではなくて医療法人いうものを考えて始めたというのは、多分医療施設を公共財として理解していたのだろうと思います。地元、地域に還元できるべき財産である。だから、公のものであっても、個人のものであっても、そこに病院がある限り、その病院というのは地域の財産として継続していただきたいというのがそもそもの考えであったろうと思います。 個人であれば、たとえば、徳川の御殿医で何代も続き、戦前戦後を通じてその土地で開業しているところもあれば、ニュータウンに移り住んで新しく始めたところもある。地域の中での法人のかたちというのはバラエティあるけれども、昭和25年にできて50年以上経っているわけですが、代替わりをしてきますと、なかなか個人の持ち分があるような医療法人は相続の問題、それから、息子なり娘なりが継いでくれればいいのですが、継がないときに持ち分をどうするかということで必ずもめます。そもそも先ほど言いました公共財という考え方からすれば、持ち主はどうあっても、やはり、公共の財産としてそこに存在していただきたい。そのためには何かルール化ができないだろうかということを今考えています。 一方、多くの公的病院や自治体病院、今度郵政民営化しますので逓信病院などもありますが、そういう病院は今後どうなっていくかということで、公私の病院のあり方が議論されています。地域に欠くべからざる存在だけれども、自治体病院だとすると運営責任が不明確であり、赤字になっても自治体の財政から補てんがありますというところと、一生懸命がんばっている民間組織があるときに、地元の受療者、患者の視点、納税者の視点から見たときにどのような形態がいいのかという問題もあるわけです。医療法人改革ということでこのような幾つかの問題、これは規制改革会議で言われた話ですが、「株式会社はダメです。あくまでも法人制度を守ります」と返答している中で出てきた結論がこのような流れのものであります。 |
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| ● 医療を担う人材の確保と資質の向上 | ||
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次は人材ということです。卒後臨床研修制度をこの医療研修推進財団でやっていただいておりまして、マッチングなども順調に推移しております。先ほども阿部理事長から出ましたが、マッチ率はだいたい95%。去年始めるときに非常に心配したのですが、米国と比べて遜色ないということで一安心しました。今年は少し早めましたけれども、95%ということでまず遜色ないことだろうと思います。特筆すべきことは、従来臨床研修を行なっていた施設は、大学の病院が約7割、それ以外が3割という状況でしたが、平成15年、平成16年となるにしたがって、一般病院のほうが増えてきました。一つは、これは卒業前にマッチングをやりますから、卒業できそうもない人も当然入るわけです。そういうのをどこで抱えているかというと、最終的に大学に残ってしまう人たちがいるのは仕方ない。国家試験に通らなければ医師になれませんので、母集団が減って、最終的には一般病院のマッチ率が増加することになりますが、どちらにしてもこのような結果が出ています。 いくつかの主だったところを見ると、地方に医師がいないと言いますが、マッチの状況を見ると、沖縄が増えているのは皆さんご存じのとおりだろうと思いますが、北海道、今年は特に山形とか増加しています。山形は昨年、嘉山学部長が大学、医師会、山形県等の自治会を巻き込み、蔵王協議会という連絡協議会を作ったのが奏功していると思います。どちらかというと大学は、今まで文部科学省のほうを向いていたと思いますが、地域での医療人材輩出施設として地元を見るようになってきたのではないかと思っています。先程来ずっと申し上げておりますが、やはり、地域の医療施設には地元の方がかかるわけで、どうしようもないと築地のがんセンターに入れてくださいという電話が来ますが、やはり、地元で完結させるために、地元の人材を育てていくことが必要だろうと思っています。 そうは言っても医師が少ない、地域で足りないという声があるのは承知しています。私たちは不均等、バランスが悪いのではないかということを申し上げています。私が卒業したのは昭和48年ですが、当時は女子学生が一割もいなかったと思います。現在、女子学生の在籍割合は37.5%とか38%とかいう割合ですから、女医が増えてきたという現象が一つあります。それから、労働基準法の適用を受けて、交代勤務を強いられるために医師を増やさなければならないというがという質問を受けます。医療需要というものが変わってきていますので、下の段に書いていますが、一応、今年中(平成17年)に需給見直しをしようということで考えております。どのようなデータでどのような結果が出るか、これから考えていきたいというふうに思います。 医師法違反による行政処分についてです。ここにおられる先生方は決してそういうことはないと思いますが、罰金刑以上の刑事処分を受けた者、医事に関して不正、それから品位を損する行為者も対象となります。最近では、酒酔い運転で人をひいたようなケースは、かなり厳しい処罰を受けます。道路交通法でも、業務上過失致死傷ではなく、危険運転致死傷、危ないことが分かっていて運転したという、一種の未必の故意になるということで罪が重くなりました。このような危険運転致死傷罪というものができ、ひき逃げも3年以下の懲役又は20万円以下だったのが、5年以下の懲役又は50万円以下に引き上げられたので、これに応じて人の命を取り扱う医師の処分も非常に厳しくなりました。本日、車で来られている方がいて、あとでパーティにでるのであれば、酒は飲まないようにしていただければと思います。地方ではどうしても車の運転が必要ということがありますが、地方の大学、医師会では必ずこの話をします。ただでさえ医師が足りないといっている地方で、事故を起こして無医村になるのは国損だと申し上げています。それから、刑事事件とならなかったような医療過誤の話ですが、民事訴訟の最高裁判断が昨年までかかったということで、四半世紀も前にあった富士見産婦人科病院事件の処理を進めております。刑事事件とならなかった医療過誤事案については、今後われわれも一生懸命やっていかなければならないと思っております。 医業停止処分についてですが、処分を受け、免許停止になっている者が、年期があけたらそのまま職場に復帰させてもいいのかという議論もございました。従いまして、現在、検討会を開き、職場復帰のための再教育をどうするか議論しています。医療技術の未熟な部分から再教育をする話と、それから、強制わいせつとか大麻取締法違反の人たちをどのように教育するかというのは、これはこれでまた難しい話があるのですが、きちんとやっていこうということで、今話を進めています。 |
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| ● 医療を支える基盤の整備 | ||
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最後、医療の基盤整備ということでいくつか動いている話があります。これは医療技術の進歩に伴って、特許で保護をしたほうがいいのではないかという話があります。これは平成16年12月に内閣府のほうでまとめたものです。一部の医薬品・医療機器について、日本と米国と欧州といろいろやり方が違いますが、一応報告書がまとまりましたので、これについては何らかの特許法の改正があるものと思っています。 必要なのが、電子カルテです。今まで景気対策ということで何回か補正予算が出て、150億円とか200億円規模で各病院、診療所の先生方にいくつか電子カルテシステムを入れていただきました。E-Japan構想もあり、政府も電子化に向けて積極的に取り組むことといたしておりますが、この2年ほど補正予算がつきません。しかし、電子カルテの普及、レセプトの電算化は本当に進めていかなければいけないと思っています。 それから、治験環境の整備ということでいくつか出ています。今、医師会も含め、いろいろなところで臨床研究、治験への参画ということが病院外収入にもなるのだろうと注目されております。治験活性化3カ年計画、医師主導治験など、いろいろと動いておりますが、なかなか日本の企業は今元気がなく、メーカーとしてうまく乗ってくれるところも少ないのですが、文部科学省、厚生労働省共同して、企業のお尻をたたいているところです。 この機器開発の話はあとで和地さんのほうから話が出るので省きますが、できればわれわれとしては、日本初のものをグローバル産業として育てていきたいというふうに思っております。テルモは和地さんが来てから、とにかく日本のもうけ頭の筆頭になっているはずですから、あとでお話が聞けるのではないかと。 |
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| ● おわりに | ||
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以上、21世紀の医療をどのように考えていくかということでお話させていただきました。はじめに申し上げたように、患者の選択、質の高い効率的医療、国民の安心のための基盤作りということをテーマに医療制度改革をしていこうということです。医療法は、先ほど言いましたが、昭和23年にできて何回か改正をしてまいりました。現在、地域の医療提供体制と合わせて何ができるかというところを考えています。医療提供体制の改革ビジョンを踏まえて、状況が変わったのであれば、効率のいい医療提供体制の実現に向けて考えていかなければいけないということで、社会保障審議会医療部会を開いていただいております。 1月中に論点を全部出そうということで進めております。その中で法律事項が出てくるのであれば、平成18年の通常国会、保険制度の抜本改革も含めていろいろと考えていくところですので、私の掌管しております医療提供体制も必要であれば変えていかなければいけないというところで考えております。以上、私のところでのお話をさせていただきました。ご静聴ありがとうございました。 |
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